
仕事人間の生き方は結構楽しい!?
今回のテーマは「仕事と人生」についてです。我々日本人は仕事に関して諸外国と比較した場合、圧倒的に精神的ストレスが多く、働き過ぎの傾向が強いとされています。
有給休暇の消化率が毎年他をぶっちぎってワースト1位を維持しているのが現状です。
ですので、定年した後は「毎日好きなことをやってのんびり生きていきたい」考えている人が多いわけですが、これがかならずしも幸せでは無いというのが最近色々な方面で研究結果が発表されています。
人生の豊かさとは?と問われた場合、やは適度な緊張と余裕がしっかりバランスしていることだと思っています。ですので、過度に緊張しすぎていてもダメですし、余裕がありすぎてもかえってストレスになってしまうので、日々の生活を楽しめなくなってしまいます。
今回は、ヘルスケア大学さんの「長寿度」について多方面で検証した素晴らしい記事と人気精神科医の樺沢紫苑先生が「人生の豊かさ」について説いた素晴らしい動画をシェアさせていただきます。

仕事人間は長生き!?あなたの「長寿度」を人生観からチェック
これまでの常識では、「陽気で明るいポジティブシンキング」や「ストレスの少ないのんびりした生活」が長寿の秘訣と考えられていましたが
近年の大規模な調査により、どうもそうではないことが判明してきました。最新科学が明かす長寿の秘訣とあなたの長寿度について解説します。
あなたが人生で大切にしているものは何でしょうか? 人は誰にでも、人生において追及したいものや、重要視しているものがあります。
そして実はその人生観が、あなたの「長生き度」に大きな影響を与えているという驚きのデータが存在します。
デキるビジネスパーソンのホルモンバランス
ハーバードビジネススクールで教える社会心理学者Amy Cuddy(エイミー・カディ)氏によると、組織の中でヒエラルキーの上位にいる人や、パワフルで有能なリーダーは
男性ホルモンの一種「テストステロン」の値が高く、ストレスホルモン「コルチゾール」の値が低いことが分かっています。
テストステロンは、積極性や前向きな思考、行動力、自信、リーダーシップなどを高める効果がある性ホルモンで、女性にも分泌されています。
「テストステロンが多いと攻撃的になるのでは?」と誤解している方は多いですが、社会(集団)生活における社会性や協調性を促進する効果があり
テストステロン値が高いと社交的になりますが、低いとキレやすくヒステリックになると言われています。代謝を上げ、筋肉量を増加させる効果があるため、引き締まった身体を維持するためにも、テストステロンは大変重要な役割を果たしています。
コルチゾールはストレスにさらされると分泌されるホルモンで、肉体的には血圧や心拍数を上昇させ、心理的には不安感やイライラ感、緊張感などを高めます。
生命にとって必須のホルモンではありますが、頻繁にストレスにさらされやすい現代社会では、コルチゾールが過剰な状態が慢性的となり
常に不安でイライラした状態になったり、更に分泌が過剰となると、脳を委縮させてしまうことが判明しています。
つまり、デキるビジネスパーソンとなるためには、いかにテストステロン値を高め、コルチゾールの分泌を減少させるかが重要なのです。

あなたが人生で大切にしているものは?
それでは早速、自分の人生観について考えてみましょう。以下の10個の項目のうち、大切だと思うものを重要な順に3つ選択してください。
・仕事
・家族
・健康
・友人
・金銭
・趣味
・名誉
・地位
・余暇
・その他
5万人の回答結果
上記は、厚生労働科学研究費補助金の研究事業により、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の教授である辻一郎氏が主任研究者となって行った調査の1つです。
回答者51,253名(40歳から79歳)のそれぞれの回答結果は、以下の通りです。
【回答数と回答者の割合】
・仕事:20,200名(39.4%)
・家族:38,149名(74.4%)
・健康:45,617名(89.0%)
・友人:6,716名(13.1%)
・金銭:19,730名(38.5%)
・趣味:6,662名(13.0%)
・名誉:80名(0.2%)
・地位:124名(0.2%)
・余暇:3,230名(6.3%)
・その他:421名(0.8%)
最も多かった回答は「健康」(45,617名、89%)、次に「家族」(38,149名、74%)、3位が「仕事」(20,200名、40%)でした。
最も少なかったのは、「名誉」(80名)と「地位」(124名)です。
各回答の12年後の死亡率
この約5万人の回答者を12年間かけて追跡調査をした結果、12年間での死亡率が最も低かったのは「仕事」(10.5%)で、死亡率が高かったのが「名誉」(27.5%)と地位(24.2%)でした。つまり、死亡率に2倍以上の差があったのです。
【各項目の死亡数と死亡率】
・仕事:2,126名(10.5%)
・家族:5,045名(13.2%)
・健康:6,115名(13.4%)
・友人:1,018名(15.2%)
・金銭:2,744名(13.9%)
・趣味:1,078名(16.2%)
・名誉:22名(27.5%)
・地位:30名(24.2%)
・余暇:451名(14.0%)
・その他:97名(23.0%)
米国の研究結果
別の研究でも、同様の結果が出ています。スタンフォード大学のルイス・ターマン教授は、1921年より、0当時10歳前後の児童1528人を対象に性格を分析し、その後どのような人生を歩んでいくのかを5~10年おきにインタビューを行いました。
そしてターマン教授の死後、カリフォルニア大学教授のハワード・S・フリードマン博士が対象者の追跡調査をし、80年間に渡る研究結果をまとめ、『The Longevity Project』という表題で2011年に発表しました。
フリードマン教授によれば、調査対象となった1528人の3分の2が70歳以上まで生き、『The Longevity Project』発表当時でも24人が90歳以上となっても元気に生活しているとのことです。
70歳以上生きた対象者の幼少期の性格を分析すると、「親からの信頼が厚い」、「間違ったことをしない」、「ルールを守る」など、真面目な印象をもたれる人の方が圧倒的に多く、「陽気で面白い」「人気者」タイプは少数でした。
また、『The Longevity Project』は労働と寿命の関係についても言及しており、「仕事で成功した人が、成功を実感していなかった人に比べて、平均で5年以上長生きしている。」という事実が記載されています。
「仕事はほどほどにして、趣味を持つ」よりも、好きな仕事、やりがいを感じる仕事に精を出し、困難があっても逃げずに努力を続け、成功する体験をする方が長生きできるのです。

真面目さと社会から必要とされていることが長生きの秘訣
これまでの常識では、「陽気で明るいポジティブシンキング」や「ストレスの少ないのんびりした生活」「他人に愛されている実感」が長寿の秘訣と考えられていましたが、上述の通り、近年の大規模な調査により、どうもそうではないことが判明してきました。
フリードマン教授によると、「誰から愛されているという実感よりも、社会や家族から必要とされている実感が人を長生きにする。」とのことです。
いつまでも真面目に仕事や家事、地域のボランティア活動などに励み、社会から必要とされている実感を持つ方が長生きできるというのは、人間が社会的な生き物であるが故なのかもしれません。
少子高齢化が進行する日本においては、なるべく多くの人が年齢を重ねても生産活動に参加し、元気に過ごすことが今後より必要になります。
真面目に仕事などを頑張ることが長寿や健康につながるのであれば、社会のためにはもちろん、自分のためにも、社会貢献とやりがいや充足感の両立ができる人生テーマを見つけ、精を出すようにしていきたいものです。
参考文献
・『生活習慣・健診結果が生涯医療費に及ぼす影響に関する研究』(政策科学総合研究事業 総括研究報告書)
・辻 一郎『病気になりやすい「性格」 5万人調査からの報告』(2010年)
・Howard S. Friedman and Leslie R. Martin『The Longevity Project』(2011年)
【出典】 ヘルスケア大学
【画像】 We Heart It
【出典】樺沢紫苑
「人生の豊かさとは」
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