
■アルコール依存症とは?
今回のテーマは「アルコール依存症」です。厚生労働省の調べによりますと、日本国内には今現在アルコール依存症患者の数が80万人に達しているとされています。
アルコール依存症は習慣的に飲酒する人なら誰でもかかる可能性のある病気です。
アルコール依存症は飲酒行動を自分の意思でコントロールすることが困難になります。
例えばどんなに体の具合が悪く、翌日の仕事に悪影響を与えるといった、あらゆる面で悪いことは分かっていても飲み過ぎてしまう、そういう心の病気です。
アルコール依存症に一度陥ると自分の力で回復するのは非常に難しく、また放置すればいたるところに悪影響をおよぼすので、早めに医療機かを受診する必要があります。
出典:「健康ぷらざ」
■アルコール依存症の症状
アルコールが体内から切れてしまうと、自分の力ではコントロールすることができない心の状態、体の症状、そういうものを指して「離脱症状」といいます。
これは「断酒」してから数時間で起こってくるのが特徴です。
多いのがイライラしたり、発汗をしたり、手が震える、その場で起こる場合と2~3日たって起こる意識障害、幻覚症状などを起こす振戦せん妄というような場合があります。
アルコール依存症が進むと、全身に影響が及び、様々な合併症が出ることがあります。
まず圧倒的に多いのが肝臓病です。これは脂肪肝というものからアルコール性の肝炎、さらには肝硬変と進みまして、肝がんなどを起こしている場合もあります。
また、内臓の病気といたしましては、すい炎や糖尿病があります。
脳の障害も多くありまして、認知症のような症状を出すことも多々あり、小脳萎縮症、手足がしびれる、感覚が無くなるといった末梢神経炎といった病気もあります。
■社会的影響
アルコール依存症による社会的影響といたしましては、まず第一に周囲のご家族や友人関係が壊されてしまう、そういったことがあげられます。
さらには酔った時の感情のコントロールが出来なくてしまうケースが非常に多いです。
このため、暴力行為を起こしてしまうとか、さらには仕事に出られなくなって欠勤してしまう、さらにそのために失業してしまう、このようなことを悩まれる方もいます。
■アルコール依存症の原因
アルコール依存症の原因は個人差があり、飲酒量にはあまり関係しません。
むしろ習慣化という問題の方が関係があると考えられます。
日本では現段階では圧倒的に男性の方が多いのですが、女性の方が飲酒量が少なくても、依存が形成されやすいといわれてまして、最近、女性の依存症者が増えてます。
キッチンドリンカーなどと言われるように台所の仕事をしながらついつい飲んでしまう。このようなことがきっかけになるというような方が増えております。
■アルコール依存症の治療
アルコール依存症の治療というのは、ご本人が「断酒をしなければならない」といった、強い気持ちを持つこと、そしてその気持ちを持って生きていく必要があります。
そして、その過程を支えていくということが治療になります。
まず第一にアルコールから離れてます。ようするに入院治療等を行います。
2番目に断酒の動機をしっかりとご自身がつかむことです。
3つ目は、その断酒を維持するために薬物治療、通院でカウンセリングなどの治療、そして、断酒会等の自助グループに参加することなどがあります。
例えば認知行動療法では、一つの場面として飲酒欲求がでたときに、それをどうういうふうに対応するか、というようなことを実践してみることを行います。
薬物療法とは抗酒剤という薬を使いまして、この薬を飲んでアルコールを飲みますと、反応しまして体が辛い、苦しいという状況がどうしてもおきます。
こういうことによってお酒を飲まないようにさせる薬です。
アルコール依存症は本人や家族だけで解決することは困難なことが多いのです。
また、放置してしまうと症状がどんど悪化します。ですから一人で悩まずにまたご家族だけでも結構ですから、保健所や専門の医療機関に相談なさってください。