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■厳しいがん患者の現実
 
 
一昔前では考えられなかったことですが、近年ではガンを告知するのが一般化しつつあります。当然のことながら医師の口から告げられる患者さんのショックは計り知れません。
 
 
がんの治療が実際にスタートするまでの準備(仕事を休む、保険の手続きなど)だけでもかなり大変です。何からてをつけていいかわからず混乱します。
 
 
ご家族がいる方は、ご家族のサポートを受けられますが、独身者の方の場合、これら全てを自分でやらなければならないので、その分ストレスが大きくなり、治療に大きく影響します。
 
 
そして、治療が長期化すればするほど重くのしかかるのが「お金の問題」です。そこで重要なのがすでにガンを完治させた人たちの情報です。こうした情報がこれから治療を開始する人たちの心に光を灯してくれます。
 
 
ということで、今回は自身がガンを患いながらも、何とか完治し、自分と同じような問題を抱えているがん患者とそのご家族を救うべく、がんのコミュニティーサイト「5years」を立ち上げた方の記事(PRESIDENT Onlineさん)をご紹介させていただきます。



 

 
 
がん患者が嬉しい言葉、つらい言葉
 
 
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■普段どおりに接してほしいのに
 
 
9年前、マラソンの練習中に足を怪我したことがきっかけで精巣がんが見つかりました。そのとき私は100キロのウルトラマラソンに参加するほど体力があったのですが、幾度もの手術や抗がん剤治療などで何度も死を意識することになりました。
 
 
しかし、そこから体力づくりをして、2年前、北海道サロマ湖100キロウルトラマラソンに復帰できるまでになったのです。自分が患者になったとき、身体的な辛さもありましたが、それ以上に辛かったのは周囲の人たちからかけられる何気ない言葉でした。
 
 
がん患者になると、誰しも孤独を感じ、死を意識するようになります。皆、なるべく死のほうに意識が引っ張られないよう心の中で葛藤して頑張っているのに、周りから死を意識するようなことを言われると恐ろしくなります。
 
 
これは患者と近しい関係の人が、本人を心配するあまり言ってしまうことが多いようです。私の場合は両親でした。母に「私より先に逝かないでくれ」と泣かれ、父からは、「(手術の)麻酔の事故だって怖いから気を付けて」と言われました。
 
 
それで親との関係がギクシャクしたこともありました。自分の病気のせいで親に泣かれると、まるで自分が親不孝をしている気持ちになって辛かった。
 
 
 
 
 
■治療法に関するアドバイスにうんざり
 
 
治療法に口出しをされるのにも閉口しました。親戚から「抗がん剤治療ではなく、週刊誌に載っていたこっちの○○療法にしたら」と言われたことがあります。
 
 
何とか私の力になりたいという気持ちはありがたいのですが、こちらは担当医と相談し、いろいろと調べて考え抜いた結果、抗がん剤治療を受け入れたにもかかわらず、それを覆すような意見は大きなストレスになります。
 
 
 
 
 
■つらい慰めの言葉とは?
 
 
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自分のために家族が我慢をしたり、犠牲になるのも嫌でした。
 
 
当時、小学生だった子どもが、休日に映画を観に行きたいのに、私のお見舞いのために我慢して病院に来るなんて、父親として不甲斐なく感じたので、子どもが行きたいところがあれば遊びに連れて行ってあげてほしいと妻に頼んでいました。
 
 
親が子に我慢を強いるなんて、したくなかったからです。
 
 
友人や知人からいろんな言葉もかけられました。「かわいそう」、「気の毒だ」、「君みたいな良い人が、なぜ……」とか。でも、がんって人を裁くものではありません。誰もがなりうる病気で、哀れに思われるとみじめになります。
 
 
がん患者に言葉をかけるのは難しいかもしれませんが、患者としては、やっぱり普段どおりの普通の会話が一番嬉しいのです。
 
 
 
 
 
■心の浮き沈みと上手に付き合う
 
 
あるとき、病室で心細くなって、妻に電話をかけたことがありました。弱音を吐く私に、妻が、「子どもたちが学校から帰ってきて、お腹、すかしていているのよ。大急ぎで晩御飯つくらなくちゃいけないの。あなたも大変かもしれないけど、私も大変なのよ。
 
 
じゃあ、切るね」と言われたとき、なんだかとてもホッとしたのを覚えています。「あー、自分の病気なんて、妻の忙しさに比べれば、たいしたことないんだ」って。
 
 
確かに、病気になると、精神的に不安定になりますが、うつ症状は抗がん剤治療の副作用でもあるのです。ですから、浮き沈みがあって難しいかもしれませんが、そんなものだと思ってつきあっていけばいいと思います。
 
 
 
 
 
■社会復帰した人の情報が欲しい
 
 
闘病中にインターネットでいろいろと調べていたとき、本当に困ったのは、治療の辛さとか亡くなった人の情報ばかりで、病気を乗り越え社会復帰した人たちの情報がなかったことでした。
 
 
治療内容よりも、それからどうなったのか、どうやって会社に復帰したのか、など、その後の情報を知りたかったのです。
 
 
実は、こうした先人の情報は闘病中の患者にとっては何よりの希望の光です。同じ病気で社会復帰したロールモデルがいることがわかれば、辛い治療を乗り越えられる希望になるのです。
 
 
 
 
 
■コミュニティサイト「5years」を立ち上げる
 
 
だから、患者と家族が情報を共有できるコミュニティサイト「5years」(http://5years.org)をつくりました。5yearsでは、患者さんが病歴、治療内容、リハビリ歴、復帰歴、現在の状況など、自分の経験を掲載できます。
 
 
辛い気持ちの人はそれを表現してくれてかまいません。ハンドルネームや匿名でもかまいませんし、掲載する情報は、患者さんが限定して見せたい人だけに閲覧してもらうことができるようにもなっています。家族やサポーターも情報の公開条件が選べます。
 
 
情報の扱いには特に注意を払ったつくりにしてあります。登録料は無料です。昨年3月の開設以来、これまで(4月18日現在)に965人が登録しています。
 
 
登録している患者さんには、会社員や自営業者、パートの主婦やアルバイトの学生、がんになった医者や看護師、年金生活者などさまざまです。ニートもいます。まさに社会の縮図ですね。
 
 
 
 
 
■痛みを知ることで人生がもっと豊かになる
 
 
5yearsの情報を閲覧することで、治療法、病歴、年齢、性別、職業など、自分と同じような人を見つけてもらって互いに励ましあえたり、自分のロールモデルになる人を見つけて目標にしてもらったり、勇気が持てるようになってくれれば本望です。
 
 
予備校に行って同じ試練を経験している受験生同士のように、お互いを身近に感じて頑張れるような場になってほしいと思っています。何事も“トレードオフ”で、失うものもあれば、得るものもあります。
 
 
私は、がんを経験したことで、弱い人の立場がわかるようになりました。闘病中、青信号の間に横断歩道を渡り切れなかったことがありました。
 
 
昔はヨボヨボ歩いている人の気持ちがわからなかったけれど、今では頑張ろうとしても体や心が頑張れないこともあるのだと理解できるようになりました。
 
 
がん患者が普通に扱ってもらえる社会をつくりたい。5yearsの活動をもっと広げて、がんを経験しても人生は下り坂じゃないことを社会に示し、がん患者が普通に社会復帰を果たせる、そんな世界を目指しています。
 
 
 
 
 
【出典】 PRESIDENT ONLINEさん
 
【画像】 Pinterest
 
 
 

 
 
【動画】mozuart
 
「クローズアップ現代 」 がんを「生ききる」
 

 
 
 
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